親と子がともに育つ

紅葉

 「親になる」とは、どういうことでしょうか。
子どもが生まれて親になり、子どもを育てる。その子が成長してまた親になり、子を育てる。この繰り返しが人間の歴史であり、どんな時代になろうと変わらず続けられてきた営みです。

 また「子育て」といいますが、子育ては、決して「親が子どもを育てる」という、一方向に限ったものではありません。
それは、子どもが大人へと成長するだけでなく、子どもを通じて学び、はぐくまれて、親も親としての成長を遂げていくものなのです。

 子どもが生まれた時に、「親」という存在もまた誕生します。
子どもの人生が始まると同時に、「親」としての人生を歩み始めるのです。
親は最初から完成された、子育ての能力を持っているわけではありません。
始めから上手に子育てができる親は、一人もいないでしょう。
子どもが0歳の間は、親としても、まだ0歳なのです。
子どもが始めての経験を積み重ねて社会を知っていくように、親もまた、親としての経験を積み重ねて子どもと共に育っていきます。
その意味で、「子育ては親育て」でもあります。

 親になることは、人生の豊かな実りを得るきっかけです。
親と子が、家庭の中で共に育ち、さらに多くの喜びや幸せを感じられるように、
親は「親としての学び」をすすめてみる必要があるのではないでしょうか。

生きがい

 人は皆この世に生を受けた時から、様々な人たちに支えられています。
親・兄弟・親戚、そして隣人や先生や友人・・・。

これらの人たちの教えや助けがあればこそ、今日ここに生きていられるのです。
同様に、自分も他の人を何らかの意味で支えています。
言い換えれば自分を認め、必要としてくれている人が必ず何処かにいるはずです。

 お互いに繋がりあい、与え与えられながら成り立っているのが、この世の中ではないでしょうか。誰一人として必要の無い人、何の価値も無いという人はいません。
長い人生の中でふと孤独感にさいなまれ、「自分は一人ぼっちだ」「自分などいないほうがいいのでは」という思いがよぎる事もあるかもしれません。
そんな時、お互いが誰かのかけがいの無い存在として生きていることを意識して下さい。
そこからきっと、生きる勇気や明日への活力が湧いてきます。
人は、他の人たちから必要とされ、役に立つことに喜びや生きがいを感じるものです。