まごころ給食

食育の大切さ

心身の発達と成長への不可欠な食事は生命の維持であり、
関与する物事への感謝の気持ちが、大切であることを知ります。

 「食育」とは、子どもの頃から身体に良い食べ物を選ぶ目を育て、「食」の大切さを学び、好ましい食習慣と豊かな心を身に付ける教育だと言われています。

 「食育」は、単に「食」に関する知識だけを学ぼうと言うものではありません。「食」に興味を持つことは、食べる物を育てた大地・水・空気・太陽、そして季節や風土に対して興味を持つことでもあります。豊かな自然によって育まれる生命の素晴らしさ、いとおしさを感じる「こころ」を育てる教育でもあるのです。

 乳幼児期の子どもにとって、食生活は大切な生活の基本です。心身ともに成長していくためには欠かせないものです。

 食事への関心を育て、楽しく食べるために、保育園ではどのような工夫や実践がなされているか紹介させて頂きます。

 母乳・ミルクを吸って飲むことから、噛んで食べることへと移行するのに大切な離乳食。吸うことから噛むことへの口の動きをきちんと獲得していくために一人ひとりに合わせた進み具合を保障し丁寧に見ていきます。

 初めての食との出会いを大切に考え、年間をとおして、旬のものを献立に取り入れ、薄味にすることで素材そのものの味を大切に給食づくりをしています。

食材・調理方法の幅を広げることにより、子どもたちの食経験を豊かにし、そのなかで「あまいね」「すっぱいね」「にがいね」など、保育者とのやり取りによって味覚を知らせると共に、「おいしいね」「カリカリ音がするよ」などの声かけをしながら食事の楽しい雰囲気をつくっていきます。

メニュー

 ご飯を炊いている時の匂いに誘われて、給食室をのぞく子どもたちに「きょうはお魚だよ」「にんじんあったね」などと声をかけ、素材そのものを知らせていきます。
自分で野菜を育て収穫し料理して食べることは、子どもの豊かな感性を育てる体験的食育であると考えています。

 保育園では、4月にきゅうり・なす・トマト・ピーマン・すいか、5月に田植え、さつま芋、8月にだいこん・にんじん・はくさい・じゃが芋等を育てています。子どもが、その体験をいきいきと家で話をしたり、台所で料理を手伝うように変わっていくことによって、保護者にも食育が浸透し家庭の食生活を見直すきっかけになってほしいと考えています。

3つの食育目標

食育目標

1. よく遊び、よく考え、よく食べよう

友だちと仲良く体を動かして遊び、じっくり静かに教具に向かい、その後はお腹がすいたらしっかり食事をすることが大切です。

2. 皆で作って嬉しいな、皆で食べよう楽しいな

土に触れ作物を育てる気持ちは、子どもの心と共にぐんぐん成長し、嬉しい気持ちで人と触れ合い、人の気持ちの温かさも味わうことができます。

3. 生きることの大切さを知り、感謝の気持ちを持とう

心身の発達と成長への不可欠な食事は生命の維持であり、関与する事物への感謝の気持ちが、大切であることを知ってもらう。

給食室

給食室

 園内に入ってすぐ左側に、明るい清潔な給食室があります。
子どもたちは、給食を作っている様子を眺め、調理員さんと楽しい会話を交わしています。

 毎日の献立は、鈴鹿市が作成した公立保育所と同じですが、地域の自然食材にこだわって調理しています。保育園の畑で収穫した旬の野菜を取り入れたり、特別メニューを追加したり、手づくりおやつにこだわったりしています。

 また、お米作りにも力を入れています。毎年、春に年長児が田植えをし、秋に稲刈りをしてすり鉢とソフトボールでもみすりをし、玄米を飯ごう炊さんして食べたりしています。

子どもによる配膳

配膳風景

 4・5歳児は、保育者と一緒に配膳のお仕事をします。
テーブルを拭いてお花を飾り、ご飯や吸い物をよそったり、おかずを盛り付けたり・・・このような当番活動を楽しみにしている子どもが、沢山います。

 個々の子どもの食べる量を聞いて調整しながら、偏食を無くし、完食できるよう努めています。

調理員の心配り

離乳食

 保育園では、手作りの良さをいかして、温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに、そして食べやすいように子どもの口に合わせた切り方を心掛けています。

 また、離乳食は四期に分けて個々の子どもの発達に合わせ、アレルギーをお持ちの子どもさんには除去食対応をさせて頂いています。

子どもをダメにする五つの「こ食」

「孤食」
小さい頃から独りで食事をし、発育に必要な栄養分が足りなくなるばかりか、社会性や協調性といったものも身につかなくなります。
「個食」
家族で食卓を囲んでいるのに、それぞれがバラバラの物を食べ、好き嫌いを増やし、何よりもわがままな性格にします。
「固食」
いつも同じものしか食べない、やがては生活習慣病になるのは目に見えています。
「小食」
ダイエットを気にし、栄養が足りずに無気力になります。
「粉食」
パンなど柔らかいものばかりで育てば、噛む力が弱く運動能力も育ちません。

給食風景

 「健全な精神は健全な肉体に宿る」とは、昔から言われていることです。
これは全くそのとおりで、子どもを育てる上でまず基本となるのは食生活です。

近頃はキレる子どもが増え、その延長線上には様々な犯罪が起こっていますが、けっして「食育」と無関係であるとは思えません。

習慣というのは恐ろしいもので、一度身についた食生活はなかなか改善されるものではありません。だからこそ今、「食育」を真剣に考え直さなければいけないのです。

 子どもの発達において0歳から3歳までは親とのスキンシップが最も重要な時期で、3歳から8歳までは人間形成の時代、つまり人間の一生を左右する大切な時期です。

その後8歳から10歳までの二年間で脳はすさまじい発達をし、自我が芽生え、好き嫌いも明確になってきます。食生活で言えば、この時期までに好き嫌いを無くさなければ、それは一生残るというわけです。

給食風景

 時代の変化に伴い、小さい頃から保育園で多くの時間を過ごす子どもが増えています。
朝食を取らない大人が増え、夕食はみんなバラバラで、これでは子どもがあまりにもかわいそうです。箸の持ち方も身につかず、楽しい会話をする術も分からず、社会性の欠如した子どもが増えてきていることは事実です。せめて30分早く起きて家族で朝ご飯を食べて下さい。
家族が揃って互いの笑顔を見ながら食べることで、子どもたちの心身は健全に育つのです。

 食事と食卓は、身体と心の基本です。
子どもがキレるのも、働く意欲がなくニートになるのも、全ての原因は子どもの頃の食卓にあると私は思います。