心の癒しを求めて

 たくさんの子どもに囲まれて、長い月日をかけて築き上げてきた保育園・・・
三つの保育園を回って、子どもの環境について先生たちと話し合い、畑や芝生の様子を見てはトラクターや芝刈り機に乗って整え、職員室に戻って書類の山と格闘する日々を忙しく過ごしています。
 そんな時、保育室で癒される光景に出会うことが沢山あります。
保育園生活に慣れずに過ごした4月~泣いてばかりいた子どもからひと時見える笑顔
連休明けの5月中旬~やっと慣れた保育園生活が崩れ、泣いて過ごすひと時
落ち着きを取り戻した5月下旬~楽しい保育園生活に笑顔が戻り、
モンテッソーリ教育に取り組み満足げな姿
慌ただしい日々ではありますが、0歳児クラスに行けば、私の膝の上に上ってきては「ちょこんと座る赤ちゃんの姿」を見ていると、時を忘れて至福の喜びを感じるひと時があります。
幼児クラスに行けば、「こんなお仕事できるようになったよ」と自慢げに見せに来てくれる子どももいます。
 こんな素敵な仕事に就いて34年という月日が流れてしまいましたが、もう少しだけ子どもの笑顔を見たいので、この仕事を続けていきます。
沢山の職員に囲まれ、沢山の子どもに囲まれ、幸せな人生であったと感じるひと時があります。
優秀な人材も育ってきたので、いつかバトンタッチをする時が来ることを願っています。

乳児期から就学までの保護者支援

 親が、目に見えやすい「できる・できない」にとらわれ過ぎた教育的側面の成果ばかりを期待することは、子どもの「親の期待に添わないと受け止めてもらえない」という意識を生みます。親の期待と自分の思いとのズレの繰り返しは、不信感や自信喪失の蓄積になっていくのです。
 しかし、親という立場はとかく子どもの出来栄えが気がかりで、結果が良ければそれが成長の証しであるかのように思いやすいものです。
このような親子の思いのズレを出来るだけ少なくするために、保護者支援を通して「子どもは自分の思いに共感されて、尊重される中でのびのびと自分を発揮できる環境が与えられれば、おのずと上手になりたい、もっと難しいことをやりたい」と思うものです。
他の子どもと比べずに、「自分の子どもをじっと見守ってあげることが大切である」ということを伝えることで保護者の気持ちも変わって欲しいと思います。
 今の保護者のほとんどが、子どものことを知る機会がないままに大人になりました。
子どもを育てる立場になって初めて本を買ったり、インターネットで調べたり、ママ友と情報交換したりしていますが、世代が近過ぎて実際の悩み解決にならないことも多いようです。
そして、「失敗しないよう」に、「決められた通り」に、「みんなと同じことを早く出来るようになる」ことを求められた世代であり、「努力したら報われる」ということを幼いころから教えられて育ってきました。
 また、一方では欲しいものがすぐ手に入る便利な生活の中で、理不尽なものにあまり出会うことなく、我慢せずに欲求が満たされる時代でもありました。
ある意味では、「待つことが苦手な世代」であると言えるかもしれません。
だけど、子育ては予定が覆されることの連続ですから、そのような場面(離乳食・トイレトレーニングなど)に直面すると、待てずに答えを早く求めたくなり、予定通りにいかないことにいらだちを感じ、「自分の努力に対して、結果で答えを出してくれる子どもは良い子」という思い込みの中で、試行錯誤する過程を省いて、結果だけを重視する保護者が多いように感じます。
 保護者が育った時代がどのようであっても、子どもの育ちは経済曲線のように右肩上がりではなく、人は皆違っていて当たり前であり、他の子どもと比べることは意味がないことなどを子どもの発達を踏まえて話し合えるような関係づくりが、真の保護者支援であるように思います。そうすることによって、親として必要以上の気負いがなくなり、周囲の評価を気にすることもなく、我が子の育ちを安心して見守ることが出来るようになると信じています。
 最後に、保育士の専門性を持って、子ども一人ひとりの特性を見極めて理解し尊重していくことで、子どもは心地良い経験を積み重ねていき、信頼感が育ち、のびのびと本来持っている力を発揮していきます。このように我が子の姿の変化を確認できた保護者もまた、保育士に信頼感が持てるようになり、「子育ての良きパートナー」として受け入れてくれるようになると思います。

子どもたちがそれぞれに 自分の芽を 息吹かせられるように
大人は豊かで あたたかい 土でありたい

 ある農夫は、野菜が本来持っている味を最大限に引き出すために、野菜の種類に合わせて、今年こそは、きっと良い土を作ってみせると頑張っています。
 子どもが本来持っているものを最大限に引き出して育てるために、大人自身が豊かで、あたたかい土であってほしいと思います。