
日本では、「人に迷惑をかけない」といった考え方が美徳とされています。
文化人類学者のルース・ベネディクト氏は、自著の中で日本には「恥の文化」が存在し、世間体など他人を気にする国民性であると述べています。
欧米では、「自分が迷惑をかける分、相手の迷惑にも許容範囲を広く持つ」という考え方が一般的だと言います。
一方、日本では、「周りの人から自分がどう見られるのか」という考えが根づいているというのです。「人に迷惑をかけない」という行為は、人目を気にするあまり、相手を頼れないという面もあります。しかし見方を変えると、集団を尊重しながら「他人を思いやる」という一面も含まれるでしょう。
他人との関りがある中で相手を思いやることはとても重要です。一人ひとりが「他人を思いやる」という、日本人の国民性・美徳に誇りを持ちたいものです。
環境が子どもを育てる
モンテッソーリ教育は、「自由に基礎をおく教育法」と言われています。ですから、モンテッソーリが言う「自由」の意味とか範囲を正しく捉えることは、モンテッソーリの人間観やその教育の性格を明らかにしていくことにも連なると思われます。
モンテッソーリは、子どもを科学的に研究する為に先ず子どもに自由を与え、自発的に自分を現すのを盛んにし、その自由に振る舞う子どもを観察することによって、すべての子どもが生まれつき自発的に成長発展する力を持っていることを発見しました。
成長に必要な環境条件が整えられて、そこで子どもが真に自由に生きることが可能にされると、その子どもの中に思いがけない新しい側面が現われてきます。
すなわち規律です。真の自由を与えると、真の規律が獲得されるのです。
「規律」とは、外から押し付けられるのではなく、子どもの内面から生じてくるものであり。それは、長い期間にまたがる内面の成長の現れです。
人は、環境と教育によって「人間」になっていくと言われています。
故に、この規律を獲得するには、どのような環境を整備する必要があるのでしょうか。
無力な存在として生まれてきた子ども、親に依存していた子ども、その子どもに対して「自立」という方向性を示し、環境を整備してあげるのが親や教師の務めです。
自立の獲得の過程で出てくる「敏感期」という時期において、親や教師は常日頃から
子どもをよく観察し、敏感期に見合った環境を整えて、子どもの要求を満たしてやらなければなりません。また、その時期は一過性のものである以上、それを逃すと取り返すのに大きな努力が必要となります。
このようなことを踏まえながら、敏感期に対応できるような教具・教材が豊富に準備され、秩序が保たれていれば、子どもは秩序を手がかりにして区別したり、比べたりすることにより、手や身体を動かし「人格」を形成していくのです。
ただこの場合、親や教師は子どものリズムやテンポを考慮し「教える人」ではなく、「子どもの成長の援助者」に徹する必要があります。
これからの社会が求めている人間像
20世紀は、知識集約・知識偏重型の教育でした。答えが既に分かっているものをどう解くか。そんな力を伸ばすための教育が中心でした。
でも、これから必要なのは、答えが見つかってない問いに対して、情報を集め、人と意見を交換しながら斬新な考えを出せる知性、そしてそれを上手にプレゼンし、協働できる能力だと言われています。
皆さんは、「認知能力」と「非認知能力」という言葉をご存じですか。
認知能力とは、記憶力や思考力などに代表される知性と言えるものです。つまり、IQと言われる知能指数のことです。
非認知能力は、情動や感情に関連する能力で、EQと言われる情動指数のことです。
今までは、認知能力が高い人が将来、社会で成功すると考えられていました。
しかし、非認知能力が高い人の方が、大人になってから社会的・経済的に成功している人が多いというデータが出ています。
特に、乳幼児期に非認知能力が高まると、それが生涯に渡り影響し続ける可能性が高いことをヘックマン博士(ノーベル経済学賞)の研究が証明しています。
- 難しい課題を前にしても諦めずやり抜こうとする忍耐力~やりたいことをやらせて
- 他者を受入れながら相互に対話して協力できる社会性~いいね こうやったらどう
- 気持ちをコントロールできる自信や楽観性~失敗しても大丈夫だよ
非認知能力は、脳の奥にある大脳辺縁系や脳幹部と密接に関係しています。乳幼児期に大人から応答的で丁寧な関わりを受けていると、この部位が健全に育っていきます。
子どもは大人との愛着・信頼関係を結び、「自分はいつでも受入れてもらえる存在」「存在価値のある人間」という『自己肯定感』を育てていきます。それを根っことして、「何があっても私は大丈夫」「頑張ってやってみよう」という前向きな情動や向上心を育てていくのです。幼少期に培われるこの情動が、非認知能力の基礎です。成長と共に、この大脳辺縁系等の感覚や非認知の情動は、「思考力・記憶力・計画性」などをつかさどる前頭連合野と呼ばれる脳の部位と神経ネットワークでしっかり繋がっていきます。




