子どもの自立

 大人の視点から無理やり子どもを引っ張り上げようとしても、子どもの可能性は大きく育つことは出来ません。子どもの視点に立って、子どもの「本性的快」を引き出してあげることが大切なことではないでしょうか。
人間の筋肉は、自主的に身体を使うから発達するものです。
同様に知能も、子どもが自主的に頭を使うことによって、初めて発達するものであると思います。教え込んだり、詰め込んだりしても頭は良くなりません。
「自主的に」とは、子どもが喜んで楽しみながらやるということです。
つまり、日常の全ての活動が自主的になされるように導くことが大切なのです。

 ある本の中で、「自立し個が確立している人間は、他者の個を認め思いやることができる。そのような人々が形成する社会は、調和のとれた平和な社会になり、世界の平和もまた達成されるでしょう。」と書かれていました。
そのような社会を21世紀には、子どもたちの力で築いてもらいたいと思います。
そして、子どもたちに人間としての豊かさを身に着けてもらい、自分の考えをしっかり
持って、自分の生き方を自分で決められる人間になって欲しいものです。

神戸連続児童殺傷事件

 今から23年前に、酒鬼薔薇聖斗(サカキバラセイト)という名前を名乗った14歳の中学生が起こした事件です。ナイフ等で沢山の小動物を切り刻み、小学生5名が犠牲になり、2名が命を亡くしました。
1997年5月27日早朝、神戸市須磨区の中学校正門に切断された小学校5年生男児
の頭部が放置されているのを通行人が発見して警察に通報しました。耳まで切り裂かれた11歳の被害者の口には犯行声明文が挟まれており、その残虐さと特異性からマスメディアを通じて全国に報道されました。その後も第二の犯行声明文が神戸新聞社に郵送され、犯人が逮捕されるまで社会に衝撃を与えました。

 この事件を私が思い出したのは、ある1枚の子どもの絵を見た時でした。
友人の園長から自分の保育園にいる4歳の男子が、自由画帳に頭と右手首が身体から離れ、赤いクレヨンで血を描いた絵を書き、その写真を見せてもらいました。
その子がこの絵を描いたのは、小学生のお兄ちゃんと一緒にある映画を見に行って数日後の出来事だそうです。

「鬼滅の刃」、子どもたちに与える影響は?

 10月16日から公開されている劇場版アニメ「鬼滅の刃 無限列車編」は、3日間で342万人以上を集客し、150億円を超える記録的な興行収入得ています。
アニメ映画作品としてのクオリティの高さが絶賛されていますが、作品にたびたび登場するグロテスクな描写について、子どもの心理的な影響を心配する声や実際にショッキングなシーンで「泣き出してしまった子どもがいた」という声もあります。
家族愛、努力の大切さや諦めない心などが描かれ、魅力的なキャラクターに惹かれたり、兄弟や友人が好んで見ていることに影響されて興味を持つこともあるかもしれませんが、作品で鬼が人を無残に食い荒らしたり、鬼の首をはねるなどのショッキングな描写が沢山あり、グロテスクなシーンやショッキングな映像を見た子どもに実際どんな影響がでるか図りしれません。4歳の自由画帳に描かれた絵を見れば明らかです。

 小学生以下の子どもにとって、「人間は死ぬ。だからこそ命を大事にしなくちゃいけない」ということを理解することは困難かもしれません。
視覚から入ってくる刺激的な動画より、この年齢にとって大切なものが何なのかを親として考えて下さい。

子どもの発する言葉を聞いてあげて 心の疑問に親切に答えてあげて

子どもが始めて発した言葉は、何でしたか?
その時の喜び、感動・・・。あれもこれもと、楽しみにしていたあの頃・・・。
今でも同じ。子どもはあの頃と変わっていません。
子どもは一生懸命にお父さん、お母さんに伝えようとしています。
「お父さん、あのね・・・」「お母さん、あのね・・・」
子どもの言葉にゆったりとした気持ちで向き合うことが、心を通じ合わせることになるのです。