子育ての良きパートナー ~それが保育士

 親が、目に見えやすい「できる・できない」にとらわれ過ぎた教育的側面の成果ばかりを期待することは、子どもの「親の期待に添わないと受け止めてもらえない」という意識を生みます。親の期待と自分の思いとのズレの繰り返しは、不信感や自信喪失の蓄積になっていくのです。

 しかし、親という立場はとかく子どもの出来栄えが気がかりで、結果が良ければそれが成長の証しであるかのように思いやすいものです。
このような親子の思いのズレを出来るだけ少なくするために、保護者支援を通して「子どもは自分の思いに共感されて、尊重される中でのびのびと自分を発揮できる環境が与えられれば、自ずと上手になりたい、もっと難しいことをやりたいと思うものです。
他の子どもと比べずに、自分の子どもをじっと見守ってあげることが大切である」ということを伝えたりすることで保護者の気持ちも変わって欲しいと思います。

 今の保護者のほとんどが、子どものことを知る機会がないままに大人になりました。
子どもを育てる立場になって初めて本を買ったり、インターネットで調べたり、ママ友と情報交換したりしていますが、世代が近過ぎて実際の悩み解決にならないことも多いようです。
そして、「失敗しないよう」に、「決められた通り」に、「みんなと同じことを早く出来るようになる」ことを求められた世代であり、「努力したら報われる」ということを幼いころから教えられて育ってきました。

 また、一方では欲しいものがすぐ手に入る便利な生活の中で、理不尽なものにあまり出会うことなく、我慢せずに欲求が満たされる時代でもありました。
ある意味では、「待つことが苦手な世代」であると言えるかもしれません。
だけど、子育ては予定が覆されることの連続ですから、そのような場面(離乳食・トイレトレーニングなど)に直面すると、待てずに答えを早く求めたくなり、予定通りにいかないことにいらだちを感じ、「自分の努力に対して、結果で答えを出してくれる子どもは良い子」という思い込みの中で、試行錯誤する過程を省いて、結果だけを重視する保護者が多いように感じます。

 保護者が育った時代がどのようであっても、子どもの育ちは経済曲線のように右肩上がりではなく、人は皆違っていて当たり前であり、他の子どもと比べることは意味がないことなどを子どもの発達を踏まえて話し合えるような関係づくりが、真の保護者支援であるように思います。そうすることによって、親として必要以上の気負いがなくなり、周囲の評価を気にすることもなく、我が子の育ちを安心して見守ることが出来るようになると信じています。

 最後に、保育士の専門性を持って、子ども一人ひとりの特性を見極めて理解し尊重していくことで、子どもは心地良い経験を積み重ねていき、信頼感が育ち、のびのびと本来持っている力を発揮していきます。このように我が子の姿の変化を確認できた保護者もまた、保育士に信頼感が持てるようになり、子育ての良きパートナーとして受け入れてくれるようになると思います。

早寝・早起き・朝ごはん

 早寝~脳が成長しているのは、22時から2時の間です。眠っている間に「海馬(かいば)」と呼ばれる知識工場が活性化します。また、寝ている間に成長ホルモンが分泌され身長も伸びます。メラトニンは睡眠のサイクルをコントロールする神経ホルモンの一種で、体内時計の調節を担い睡眠を促し身体を休ませる働きをします。

 早起き~早起きはやる気の源であり、睡眠時の海馬の働きを良くします。海馬は記憶したことを知識に変えます。早起きするとセロトニンという物質が多く分泌され、心の高ぶりを静め、「ほっと」落ち着かせ安らぐ気持ちを作り出してくれます。また、日常生活の中で何でもないようなことを嬉しいと感じることができ、感情豊かな子どもになります。

 朝ごはん~成長期の脳は睡眠時にも糖とアミノ酸を沢山使うため、朝ごはんを食べないと脳が燃料不足になります。血糖値をゆっくり上げるために炭水化物・アミノ酸たっぷりのタンパク質(味噌、納豆、豆腐、卵、乳製品など)を摂取するのが理想的です。
昔ながらの日本の朝ごはんが、脳にとって一番良い食事であると言えます。