心の土壌を耕すことから始めましょう!

 子どもは、沢山の可能性を持って生まれてきました。
お子さんの持っている良さや可能性を伸ばして、「あと伸びする子どもを育てる」というテーマで令和 4年 2月の志生会だよりに書きましたが、今回は「心の土壌を耕す」について触れたいと思います。
 幼児教育に携わって30年になり、認可外保育園時代には沢山の子どもたちに勉強を教えてきた時代もあります。今年も年賀状で近況を知らせてくれる生徒もいて、結婚しましたと報告してくれたKクン、大阪で医者として最先端医療に携わっているSクン、商社に勤務しているMクンなど子どもたちの幼児期の姿が思い出されます。
 長い月日の中で早期教育について保護者から尋ねられることがあります。
「小学校へ進学して人並みにやっていけるように・・・」という保護者の思いは分かりますが、「早くに走り出せば、それだけ多くの実りが得られる」というほど、人間は単純には出来ていないようです。もちろん、お勉強をする時期ではありません。
 乳幼児期は近い将来に向けて学校生活に順応できるように、「心の土壌を深く耕していく時期」です。
耕されていない大地に種をまいたところで、力強い苗が育つでしょうか。今を存分に、子どもらしく生きることが、未来に向けて花を咲かせることになるように思います。
 沢山の子どもたちを教えてきて思うことは、乳幼児期に大切なことは「学ぶ力は絵本にある」と言っても過言ではありません。

  • 言葉の力~豊かな語彙を使って考え、表現する力
  • 言葉を繋げて新しいものを組み立てる力~思考力
  • お話を集中して聞く力~先生の言葉を聞く力
  • 抽象的な思考力、想像力
  • 活字や本への親近感
  • 知的な好奇心

身近な絵本での活動が、「あと伸びする子どもを育てる」為の一番の近道であるように思います。
 絵本は子どもに人としての力と恵みをもたらします。
そして、その副産物として親と子の結びつきを深めていくのです。
しかし、この結びつきを危うくする物も、家庭には存在します。
それは、テレビやスマートフォン、タブレットなどの電子メディアです。
生活必需品として日常に浸透しているものでもありますが、多くの時間を電子メディアが占めることは、子どもの言語の発達を遅らせ、意欲や集中力や思考力など、人としての力を弱めていくばかりです。
 意識して、電子メディアを遠ざけてみませんか。その中から、きっと子どもと過ごす新しい時間の発見があると思います。出来れば、家庭に静かな時間を取り戻して下さい。その静けさの中から、本来の家族の姿がよみがえってきます。
子どもと触れ合い、語らい、遊び、絵本を読んであげて下さい。
これが一番の早期教育です。
 優れた絵本の物語には、先に生きた人々の子育ての知恵が織り込まれています。
絵本のある子育てをとおして、親だけの孤立した子育てから、多くの人々の経験や知恵に溢れた子育てへと変わることでしょう。