初心忘るべからず

鯉のぼり

 世阿弥は、50代半ばに著した「花鏡」の中で「初心忘るべからず」と言う言葉を残しています。初心には若い時の初心ばかりではないのです。
人生の時々の初心もあれば、老後にも初心があると述べています。
それぞれの人が、心新たにして何かをしようとした時が初心なのかもしれません。 

 私が好きな言葉に、「夢持ち続け日々精進」と言う言葉があります。
夢は「持っていたのに」と過去形ではなく、持ち続けるものだ。その夢に近づくために「昔は頑張った」と振り返るのではなく、「今を頑張っている」ことこそ大事だと思います。

竣工記念式典を終えて

 先日、社会福祉法人 志生会 内部ハートピア保育園の竣工式も終わりました。平成27年の秋ごろから保育園用地を検討し、国への申請の準備に取り掛かりました。長い月日の経過を思い出し、ほっとした休日を過ごしています。
(竣工記念式典での挨拶の一部より)

 かつて日本には、人と人とが助け合い、とりわけ子どもを社会の宝として慈しみ、常に大人の温かい目が注がれる地域社会、子どもたちが安心して子どもらしさを発揮できる場所、いわば「心のふるさと」がいたる所にありました。
ところが現代においては、共に生きているという意識よりも個人が優先され、思いやりや優しさに欠けた社会になりつつあるように感じられます。
また、子育ては社会全体で担うものという気持ちが低下し、子どもを産み育てる喜びや誇りも弱まり、子どもとその親が安心して暮らせる地域社会が、少なくなってしまいました。

 子どもたちは、生活の場である保育園で、日々友だちや保育者と関わり、保護者や地域の人々の温かい目に見守られ、生き生きと遊ぶ体験を通して、子どもらしく健やかに成長していきます。

 内部ハートピア保育園は、子どもたちが育つために必要な「心のふるさと」なのです。
いつまでも子どもたちの「心のふるさと」であり続けること、そして、地域社会にも子どもたちの「心のふるさと」を取り戻すことが、この地域の未来にとって大切なことではないでしょうか。

 私が生まれ育った四日市の街に、このような形で恩返しができることをとても嬉しく思います。
少しでも待機児童が緩和され、これからの日本を支えてくれる若い世代の方々が、喜びを感じながら子育てができるよう、子どもの育ちと子育てを社会全体で支援できるような仕組みを構築したいと思います。