ご入園・ご進級おめでとう御座います


ソメイヨシノの豪華さ、紅しだれの優美さ、山ザクラの素朴さ。
暖かい春が巡ってきた喜びをからだ全体で表すかのように、サクラの花が開き始めた。
華やかである。あでやかである。
寒風に耐え、ときには雪をいただきながら、着々と力を蓄えてきた結果としての美しさである。
その努力と忍耐がなければ、決して花は開かない。

人の歩みもまた同じであろう。
スポーツ選手にしても、芸能人にしても、どの分野の人であっても、
一流の人の輝きは、努力と忍耐の末にあることを知らねばならない。
人はともすると一気に花を咲かせたいと思う。けれど、そうは問屋が卸さない。
やはり大切なことは、じっと耐え、こつこつと努力を重ねながら時期を待つことである。
努力を重ねる人には、必ずその時期は来る。

花それぞれの美しさを観賞するのもよし、
また花の下で弁当を広げ、杯を酌み交わすもよし。
しかし、時にはサクラが不平も言わず、愚痴もこぼさず、大自然の摂理に身をゆだね、
淡々と厳しさに耐えてきた日々のことにも思いを巡らせてほしい。

子どもの育ちも同じかもしれない。
手を掛け、愛情をそそいでいるのだが、思い描いているように育ってくれない。
3歩進んで1歩後退、そのような繰り返しの中、確実に自立に向けて歩んでいる。
少し心に余裕を持って、見つめてあげることも必要ではないだろうか。
いつか、大輪の花が咲くことを信じて待ってあげよう。