乳幼児のための宮殿創り

 地域の皆様のご協力の下、無事に日永ハートピア保育園の建設がもう少しで終わろうとしています。
育休による退園や待機児童が無くなり、これからの日本を支えてくれる若い世代の方々が、喜びを感じながら子育てができるような社会になるよう最善を尽くして取り組んでいきたいと考えています。
私ども社会福祉法人 志生会 は、20年目を迎え新たな歩みを踏み出していきます。

思い出づくり

 あじさい組のお友だちが、後1カ月で卒園します。
ハートピア保育園は5歳児36名が15の小学校に就学し、また、内部ハートピア保育園は5歳児39名が9の小学校に就学します。
毎年この時期に「思い出のアルバム」の歌が聞こえてくると切なさが募ります。
 保護者の皆様におかれましては、乳幼児期のこの6年間、子育てと仕事の両立はとても大変だったと思います。
夜中に起きて母乳をあげたり、熱を出して病院に連れて行ったり、子育てのあり方に悩んだり、仕事を続けることに戸惑いを感じ、色んな事がいっぱい・・・。
このような辛い思い出、そして振り返れば楽しい思い出を積み上げてこそ、親として成長されるのかもしれません。
子育ての教科書は何処にも無いかもしれませんが、保育園と共に一緒になって歩んだこの年月は、保護者の方にとっても「思い出の宝物」になったのではないでしょうか。

子どもたちがそれぞれに 自分の芽を 息吹かせられるように
大人は豊かで あたたかい 土でありたい

 ある農夫は、野菜が本来持っている味を最大限に引き出すために、野菜の種類に合わせて、今年こそは、きっと良い土を作ってみせると頑張っています。
子どもが、本来持っているものを最大限に引き出して育てるために、大人自信が豊かで、あたたかい土であって欲しいと思います。

子どもの発達の法則

「子どもとは何か」という、子どもの事実をよく見極め、「子どもの生命というのは、どのように展開しどんな特徴があるか」というところを詳細に見極めて、「その子ども期の生命をどのように刺激し、展開させるべきか」という方法論を考えてみたい。
 自由な活動を可能にされた子どもを観察することによって、子どもの活動には一定のパタ-ンがあり、そのパタ-ンに則している時には、活動が持続し自ら発展的に展開していくという事実が見受けられます。
「子ども期の生命の法則」とは、ある時期に獲得すべき能力を身につける為に、内面から強烈なエネルギ-が出てくる時期、つまり「敏感期」と大きく関わっています。
0歳から3歳においては、無意識的に外界のさまざまな出来事を吸収していきます。
そして、3歳から6歳になると吸収したものを知識として、意識的に整理し順序立てていきます。
 それでは、具体的に子どもの成長について触れてみようと思います。
秩序に対する敏感さは、1歳半ぐらいから現われ、3歳をピ-クとして次第に消えていきますが、3歳から4歳になると、物の位置、時間の流れ、順序、約束などに対して非常に厳格になります。
また、小さな殆ど目に止まらないくらいのものに、子どもはじっと見いったり、素早く見抜いたりするものです。大人とは違ってこんな気付かれないような世界に注意を向けながら、内面の豊かさを拡げ深めていきます。
それ以外にも、聞く、話す、書くなど言語の感覚面の興味が高まったり、体を動かしバランスをとり、指先を巧緻に使うなど様々な運動をやりながら、自分自身の行動の主人公になっていく時期でもあります。
もちろんのこと、視る、聴く、嗅ぐ、味わう、触れるなど、五つの感覚から入ってくるものに興味を持ち、大人には考えられないほどの敏感さで、その本質的な刺激に応じたり、吸いつけられるようにそれを楽しんだりもします。
そして、日常生活の中で子どもは色々なチャンスを見つけて、分けたり、合わせたり、並べたり、順序立てたりなどをやっているのです。すなわち、「感覚」を使い「運動」しながら知性を働かせているのです。
以上のようにして、子どもは自立へのプロセスを歩んでいきます。
人間の奥深いところにある自分のやりたいことを見極め選びとってゆくという「選ぶ能力」、選んだものに「関わってゆく能力」、そして関わったものを困難があっても逃げずに、むしろ自分の「全人格をかけて乗り越えてゆく力」、その後にその子の奥底に秘められていた、その子の一番深い安定や秩序が取り戻され、内面から「本来の自分」が現われてくるのです。

※「敏感期」とは、オランダの生物学者ド・フリースが提唱した概念です。
 どのような生物もその幼児期に、今その生物が成長・発達させようとするものに、特に敏感になる時期があるとされています。