「聴き上手」になる

 普段、家庭で気づかぬうちにとっているコミュニケーションを振り返ってみましょう。
例えば、子どもが保育園の様子などを話しかけてきた時、次のような対応を無意識のう
ちにしていることはありませんか?

  • テレビ、パソコンの画面や新聞、雑誌を見ながら話を聞く
  • 子どもが話し終える前に先走って結論を出し、話の腰を折る
  • そっけない相づちや機械的なうなずきで空返事をしてしまう
  • 子どもの表情を見ないで、他の事を考えながら話を聞く
  • 話の途中で「じゃあ、こうしたら?」とアドバイスや命令をする

 忙しかったり、気持ちの余裕がなかったりすると、つい子どもに対していい加減な聞き方になってしまいがちかもしれません。    
しかし、これでは自分は「聞いた」つもりでも、相手は「聴いてもらっていない」となり、コミュニケーションギャップが生じてしまいます。
 自然に音声が耳に入ってくるのは「聞く」です。
円滑な親子のコミュニケーションはそうではなく、相手のほうに意識を向けて、「聴く」必要があるのです。「コミュニケーション上手は聴き上手」と言われるゆえんです。
相手の話を「聴く」時の大切なポイントは、相手の言葉を繰り返すことです。
例えば、子どもが、「こういう事があって、悔しかった」と言った時に、親は、「そうか、悔しかったんだね」と受け答えてあげる。
このような受け答えの中から、自分のことをよく理解してもらえているという実感として信頼感や自己重要感を持つことができるのです。
ところが、親は忙しさから、同じ言葉を繰り返すのではなく、ついつい答えを言ってしまいがちです。
聴き上手になるには、相手の話に集中し、話を聞き出すようにしなければなりません。
しっかりと子どもと向き合ってあげて下さい。

小1プロブレム

 小学校は多くの人が集まって、色々なことを学ぶ場所です。保育園や幼稚園とは違う点が多くあります。
小学1年生が学校に馴染めず、学習や生活などに問題が起こることは世間で「小1プロブレム」と呼ばれています。
 保育園や幼稚園では、極端な言い方をすれば「子どもがやりたいこと」をしていればよかった。保護者は連絡帳などを通じて園側とこまめなやり取りがあり、子どもの様子を知る機会も多くあると思います。
 これに対して小学校は、義務教育です。
「自分のことは自分でやる」ことが基本的なルールです。
分からないことを先生に質問し、休み時間にトイレに行くなど、子どもが自分で考えて行動する。
勉強や身の回りのことなど、自分で練習してやらなくてはいけないことが増えます。
担任の先生も一人で多くの児童を担当し、保育園や幼稚園と比べて保護者との対応も限られ、保護者は小学校での様子も分からず不安かもしれません。
低学年の時期は、子どもの自立に向けた練習期間だと思って、保護者の方には子どもを見守ってあげて下さい。
子どもが自立するためには、子どもが出来ないことを過度に保護者がフォローしないことが大原則です。手伝った方が早くでき、失敗しないかと案ずる気持ちは理解できますが、子どもにとって練習することが大切なことなのです。
「自分ならできる」という自己効力感を高めることが、自立のポイントだと思います。
努力して成功体験を積み重ねるだけでなく、失敗を受け止めて次に向けて試行錯誤しながら、自分で打開策を見出すことが大切なのです。
自己効力感を育てるには、この繰り返しが重要で子どもの自信にも繋がります。
 小学校では、皆と遊ぶのが好き、皆とおしゃべりをするのが好き、一人で本を読むのが好き、物静かなおとなしい、・・・色々な子どもがいます。それぞれ個性のある子どもたちが集まり、コミュニケーションの練習の場でもあるのです。
多様な子どもがいるからといって、無理して周囲に合わせる必要はありません。
小学校は、色々な人との「ぶつかり稽古」の場であると考えて下さい。
自分の主張だけでは通らないことを学び、他人のルールや考え方を知る。
他の子どもと比べることで、自分の得意や苦手な分野を認識することにも繋がります。
 次に身に着けて欲しい人間関係について、触れてみたいと思います。
挨拶は人付き合いの基本です。先生、友人を含めて出会った人に挨拶をする。
子どもは恥ずかしいと思うかもしれませんが、保護者が近所の人などに挨拶している姿を見ているうちに、自然に自分から出来るようになります。
また、相手が嫌がることはしないことも大切なことです。
自分では冗談のつもりでも相手が嫌がることもあります。嫌がっていると分かれば、やめる勇気を持って欲しい。
「自分のことは自分でやる」からお母さん見ていてね!
このような言葉が聞こえてくれば、子どもは親から自立して、小学校生活も楽しくなるはずです。
そのためにも、子どもを見守り、子どもが発する心の声に傾聴してあげて下さい。